第17回(2006年)JSCA賞募集について
構造技術者は控えめな方が多いのか、自主的に賞に応募するという風土がまだ根付いていないように思われます。JSCA賞も例外ではなく、多くの応募作から激戦を勝ち抜いてというよりは、事務局や審査員がめぼしい作品に声をかけるというケースもあるようです。
構造技術者の社会的地位向上のためには、自ら声を上げることが不可欠です。まず第一歩として、自らの仕事に自信を持ちアピールすることから始めてみませんか?
というわけで、今年は多くの作品応募を期待しています。
ところで今更ではありますが、JSCA賞とはどういう賞なのでしょうか?
JSCA賞表彰規則には次のよう目的が謳われています。
「建築がその時代・社会的役割を充分に果たしていくためには、構造家の持つ優れた資質が要求され貢献している。その重要な役割を顕在化し、次の世代を刺激し活性化を図り、また構造家の活動を社会的に掲示してゆくことが本会の顕彰制度設立の目的である。」
JSCA賞だけで構造技術者の活動を社会に示すことが難しいのは言うまでもありません。顕彰も含めたJSCA全体の日常的な活動とその結果こそが、社会から認知される条件となるでしょう。またJSCA賞が次の世代の刺激剤になっているかどうかは疑わしいところがあります。年々高齢化する組織にあって、次世代の目標とは何か、JSCA賞を通じて考えてみたいと思います。
賞には次の3種類があります。
作品 | 構造的な創意着想が注目され、構造技術と構造設計・設備設計との整合により、優れた建築を創出したもの。 |
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業績(開発) | 新しい、または特殊な構造材料、構造システム、構造ディテール等を開発し、それによって独自の空間の創出を可能にし、芸術的、技術的にその効果の顕著なもの |
業績(社会的貢献ほか) | 建築構造技術者の社会的活動を、より活性化するために多大の効果をもたらした貢献、または、構造に関連した活動で社会的、文化的功労の顕著なもの |
作品については「構造技術」と謳っているため、過去の受賞作がやや技術偏重ではないか、という声も聞かれます。「優れた建築を創出」という点にも重点をおくべく、今回は建築家の長谷川逸子さんに審査員に加わっていただきました。
また業績(社会的貢献ほか)の過去の受賞が少ないのも気になるところです。賞の目的や、会の意義を考えれば、この賞こそたくさんの応募があってしかるべきでしょう。
賞の精神をご理解いただき、多くの構造技術者からの自主的な応募を期待しています。
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※掲載された記事は執筆当時の法令・技術情報に準拠して執筆されています。ご留意ください。