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夏休み てく・テク 山手線

=近代のはじまりを感じる小旅行=

 

東京駅【Tokyo-station】

(担当 HP部会 Y・S)
写真1
写真2
写真3
写真4
昔懐かしい小学生向けの“なぞなぞ”で、日本で最も高い場所にある駅は?というものがありますが、その答えである“東京駅”を見てみましょう。(なぞなぞの答え…東京駅。東京駅から出発する電車は全て“くだり”のため)
東京駅は大正3年(1914年)、東北本線の起点として開業しました。品川駅(1872年)や上野駅(1883年)の開業と比べると、中心的な駅にも関わらず、意外にもそんなに早くはありません。

さて、東京駅丸の内側の中央線1、2番ホーム写真1,2、そしてもう一方の端にある東海道新幹線のホーム18、19番線写真3,4を見てみましょう。
いずれも、大正時代の雰囲気が感じられる…とは言えない現代風な造りをしています。それは、戦後に造られたものであるため仕方のないことでしょう。

写真5
写真6
写真7
次に東海道線(在来線)ホーム9,10番を観察してみました。 これまた大正時代の…とはいきませんでしたが、先ほどの新幹線ホームよりは古き時代の職人技を感じます。 鉄が貴重品で限られた形のものしか作れなかった時代に、 今ではまったく使われていないリベットを使って組み立てた架構です写真5
ところで … ホームに立ち、よく見てみると、 10番ホーム側のところで材が継ぎ足されていることに気がつきました写真6
それも現在工事現場でよく見かけるH型鋼というもので…
はてさて、これはいかなる事か?
 これは、あくまでも私の推測なのですが、 10番ホーム側の上屋は増築予定だったか造り替えられたのもので、 9番ホームの上屋だけで建てられていた時代があったのでしょう …  そう思ったのは、その近くに柱を支持していたと思われるボルト跡写真7が見られるからなのです。

いろいろ考えると、何かワクワクしますね?!

写真8
写真9 写真10
次に、同線の7,8番ホームを歩き、向かい側の山手線(5,6番ホーム)を見てみました。
ここには開業当時の面影のある鋳物で造られた架構、木造で造られたもの、 現代風なもの…いろいろ混じり合いながら建てられています写真8,9。 屋根上にある開業から存在するのであろう古い鋳物の架構写真10は、 全て鋳物だけで造られているのか、はたまた一部に木材が使われているのか、 頭を悩ませました … 皆さんはどう思われますか?
写真11
これは3番ホームの“とある”場所です写真11。 かなり細い材で出来ています。おすもうさんのような重たいものが載ったら大丈夫かな…という感じもしましたが、 この上に中央線ホームがあり、雨も降ってこないような場所なのです。 皆さんはどう感じられるのでしょうか?

そぞろ歩きながら観察してきたホームを離れ、丸の内側の外から駅を見てみると、今ではあまり見かけなくなった、レンガでできた美しい建物であることに気がつきます。とても、大勢でごった返している通路や、あわただしく行き交う列車が、そのレンガ造りの建物の向こう側にあるとは思えない、静かなたたずまいです。
青春初期、建築を専攻しながらも本当に自分がやりたいことは何なのだろう…と思いを馳せ、刺激を求めに来た東京。就職が決まり希望と不安を持ちながら降り立った東京駅。人生の転機を迎え、我が田舎(まち)に帰るとき、妙に眩しく見えた東京というまち。いつもそこには出発点として東京駅が存在していました。
改めて、またこうして歳を重ねて東京に来てみると、この美しい建築に心を正されます。

東京駅を見るだけでも、十分な東京見物になりそうです。


※掲載された記事は執筆当時の法令・技術情報に準拠して執筆されています。ご留意ください。

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