= 簡単な模型で理解する「つよさ」のしくみ =
1.試してみよう。 |
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君の家(マンション)や学校の床がなぜ落ちないで物を支えることができるのかを考えてみましょう。君のまわりをみてください。床の上には色々な物が載っていますね。テレビ、タンス、机、椅子、本、そして、私たち人間です。それらを合計すると結構重いですよね。それでもゆれたり、たわんだりしないで、しっかりと色々な物を支えています。どうしてでしょう。簡単な模型を作って一緒に考えてみましょう。
実際の建物は木や鉄筋コンクリートなどで出来ています。同じ材料で作ると大変なので、紙で作ってみましょう。君の部屋をA4(21cmx29.5cm)の大きさだと仮定して考えてみます。簡単に曲ってしまう紙が工夫しだいで丈夫になります。
2.実験のやりかた |
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● 材料
● 道具
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床: | 直接物を支えている薄い部材のことです。 今回はA4の紙です。 | |
梁(はり): | 床を支えている、柱と柱、梁と梁を水平につなぐ細長い部材です。 2㎝×21㎝の短い梁3本と2㎝×29.5㎝の長い梁3本を作ります。 紙が1枚だと薄いので、3枚重ねで糊付けし厚くすると良いです。 | |
柱: | 床や梁や支える鉛直の細長い部材。 今回はトイレットペーパーの芯を4本用意します。 |
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柱を台紙の隅に4本立て、 倒れないようにしっかり糊付けします。 写真1-1-1 |
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梁を載せるための柱に切り込みを入れ、 梁を柱に差し込みます。 写真1-2-1 |
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梁と梁にかける梁は、 お互いに切り込みをいれ組み立てます。 写真1-5-1 |
6つの実験で、コインをどれくらい載せられるか、ためしてみよう。
さらに、同じ重さの場合に、どのくらいたわむか、定規で測りましょう。
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3.落ちない床の理由 |
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実験でわかったこと(紙の曲り方より)
1) | 実験 6,5-4-3-2-1 の順にたわみ(変形)が少ない。 |
2) | 梁がある方が丈夫になる。(実験 1と実験 2,3,4,5,6の比較) |
3) | 床のスパン(間隔)が小さい方が丈夫。(実験 2と実験 3の比較) |
4) | 梁で囲まれている方が丈夫。(実験 2,3と実験 4,5,6の比較) |
5) | 梁を多く入れ床の面積を小さい方が丈夫。(実験 4と実験 5,6の比較) |
どうやら、床の梁に囲まれた面積を小さくすると丈夫になるようです。 次に梁の間隔が狭いほうが丈夫なようです。なんとなく、わかりましたか。 実際の建物では、なんとなく丈夫では困りますので、設計の段階で、床に載せる重さと梁に囲まれた面積や梁の間隔により、厚さや鉄筋の本数をいろいろな計算式を利用して確かめているのです。
4.他に調べてみよう |
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1) | コインが何枚まで乗せられるでしょうか。比較してみよう。 |
2) | 同じ重さで、紙がどのくらいたわむのか測って、比較してみよう。 |
3) | 中間に梁をもっと入れたら、どのように強くなるのでしょうか。 |
4) | 床紙を2枚にしたら、どのようになるのでしょうか。 |
5) | 画用紙のような厚い紙なら、どうでしょうか。 |
5.実験の結果の見方 |
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この特集で試した実験は、床の強さだけを確かめるためのもので、実際の建物とは色々なところで違っています。違いを表にしてみました。このことを、少し気にしながら、実験の結果をみて下さい。
実験 | 実際の建物 | |
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材料 | 紙 | コンクリート、鉄、木 |
接合 | はめ込み、載せる | すべての構造材が一体となっている |
形 | 薄い紙 外周または中間に梁 | 床の面積と載せる重さにより、色々と違う |
6.実際の建築では床はどうなっているのでしょう。 |
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1) | 一般的な鉄筋コンクリートのマンションの場合では床の厚さは15~20cmですが、最近は20㎝の場合が多くなってきています。強さだけではなく、振動や足音などの問題を解決するために、床を厚くする傾向にあります。コンクリートの床の中には鉄筋が20cm間隔程度に入っていますので、爆発など場合でないかぎり、床が落ちることはありません。 |
2) | マンションンの大きさ(広さ)が 7mx12mの場合は、中央に梁を入れ、床の面積を小さくする工夫をしています。床の厚さを30cmにして中間の梁をなくし、一枚の床だけにする建物も増えています。 |
7.さらに研究を進めよう。 |
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ここでは、床(紙)は平面として考えましたが、床(紙)を折り曲げたりすることもあります。 同じ材料でも折ることにより強さが違ってきます。形の違いでどうなるか研究してみよう。
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※掲載された記事は執筆当時の法令・技術情報に準拠して執筆されています。ご留意ください。