= 簡単な模型で理解する「つよさ」のしくみ =
これまで色々試してみて、なんとなく物の強さの意味がわかったような気がしてきましたか。でも、1章の実験用の模型は実際の建物とは違っていそうですね。また、2章の紙の模型もコンピューターの解析とは違っているような気がしませんか。どうでしょうか?
2章の場合について、詳しく考えてみましょう。
A4の紙で写真と同じような、四つ折の紙と二つ折りの紙を作ってみてください。何となく、二つ折りの方が「へなへな」として、弱そうに思えます。コンピューターを使った解析結果のように、二つ折りの方が、「強い」または「剛い」とははならないようです。どうしてそうならないのでしょうか?
実際の折り紙上で何が起こっているのか、もう少し観察してみましょう。
こんなことが起こっているかもしれません。
これらの現象は実際の建物の場合でも起こります。
平面の紙がふくらんだりへこんだりして曲がってしまう現象は、直線材(柱や梁のこと)が短い場合や、平面材(床や壁のこと)の面が小さい場合では耐え得る圧縮力でも、長くなったり大きな面になったりした場合には、耐えられず、嫌がって「逃げてしまう」現象で、これを「座屈(ざくつ)」と言います。嫌がって逃げてしまっては加えた力に抵抗出来ません。また、山形の三角形が“へ”の字に大きく潰れてきてしまう現象は、力を加えていくと、「最初の形が大きく変わってしまう」現象で、これを「大変形」と言って、これも、建物が形を変えて力から何とか逃げようとしているのです。最初の形では抵抗できたはずでも、形が変わってしまっては、抵抗出来なくなってしまうことも有ります。
このような現象をコンピータで再現することは可能ですが、2章ではそのような現象が起こらないものとして解析しています。起こらないものと「意識して」無視するわけです。しかし、無視するだけではいけません。起こらないような処置しなければなりません。そうすれば解析と同様になるはずですね。では、どのようにしたら良いでしょう。ゆっくり考えてみてください。
ひとつの解決策は、紙の端の山形部分を三角形の紙でふさいで、平面の紙がふくらんだりへこんだりして曲がってしまうことを防ぐ方法と、中央付近も同じ三角形の紙でふさいで、形が変わるのを防ぐ方法が考えられます。一ヶ所ではだめかもしれませんが、増やしていくほど良くなるはずです。この方法の他にも色々な方法が有ります。この本来の形を補って付け加えるものを“補強材(ほきょうざい)”や“補剛材(ほごうざい)”と言っています。君たちも色々な“補強材”や“補剛材”を考えて見てください。
このように、実際の建物では、コンピューターを使った解析結果をみながら、もっと‘つよく’する工夫をしているのです。
夏休みの宿題のヒントになったでしょうか?
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※掲載された記事は執筆当時の法令・技術情報に準拠して執筆されています。ご留意ください。