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私たちはどこから来てどこへ向かうのか

 


この50~100年の建築の変化は対数グラフでも表現できないほどけたたましい。 人類出現を1月1日0時、今を大晦日0時とすると、12月31日23時55分以降から始まった地球文明と建築の大変革期。 その時代に私たちは生きている。
この大変革と大進歩は、産業革命から始まり、鉄やガラスの出現、コンピューターの実現と普及、新素材の開発、 IT革命などの時代の変化と歩調をあわせ、建築はその時代を写し取っている。
建築は長い間、大工や石工、建築家や芸術家、などがリードしてきたのだろうが、 この大変革期には万能者にかわり深い技術力を駆使する専業の建築構造エンジニアや構造家の出現が求められ、 職能が確立し大きな進歩に多大な寄与をしてきた。 建築も時代とともに機能主義・合理主義、ポストモダンと、時代とともに変わってきた。 このような建築家が主導・分析する流行に、ぽつっ、ぽつっと流行の殻を破る作品が出現する。 そこには必ず技術と構造を司るエンジニアや構造家が少なからずいる。100mをこえる木造建築、 地震の揺れを1/3に低減する免震を利用した建築等々。
建設技術の進歩がある。難しい架構でも不合理な構造体でも何でも解析して答えを出してくれるコンピューターがある。 それらが例えば張弦梁構造をはじめとした張力構造やその混合構造のように、今までにない秩序と緊張感がある大空間を生んだ。 逆に、「何でもあり建築」・「成り行き建築」をも出現させた。

そして今、流行はなくなったのではないだろうか?
私たちはどこに向かうのだろうか?
ひょっとしていつのまにか混沌と混乱の時代に入り込みつつあるのだろうか?

地球外生命を探るために電波の探索が数十年続けられているが、ひとつも見つからないそうだ。 このことから、地球のこの急激な変化の今が宇宙人の進化の限界で、どの星文明も同じ間違いをし、同じ運命をたどった、 あるいはたどるのではないかとの分析もある。

いやいやそんなことはない。これからの明るい未来のために今までのあの気の遠くなる時間軸カレンダーをめくってきたのであり、 希望の未来が近いために急激に進歩しているのであり、スピードが出始めたところで我々がもうちょっとアクセルをふかす、 それが求められているのではないだろうか?

先に述べたカレンダーが未来へと続くように、建築の分野もこれから大いに人類や環境のためにアクセルをふかしていかなければ・・・。

研究者も、行政も、建築家も、メーカーの人も、そしてこのHPを閲覧していただいたあなたもその仲間に加わって下さい。 みんなで力を出し合って、明るい道を開いていきましょう。

そんなみんなの相棒、それがJSCAです。建築構造にかかわる仲間たち、 不可能を可能にするスペシャリストがJSCAには多勢います。

   
許斐 信三(このみ しんぞう) JSCA九州支部長

※掲載された記事は執筆当時の法令・技術情報に準拠して執筆されています。ご留意ください。

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